GEの株価暴落にみるソフト普及の難しさ+のれん減損の怖さ
要点
- ソリューションビジネスの壁=保守的業界・非既存顧客
- エネルギー転換→火力発電部門↓
- 事業売却→EBITDA純有利子負債倍率↓
米GEが主力事業が不振で、事業の切り売りを進めている。なぜか。
株価は17年1月→18年10月で6割超下落
1.ソリューションビジネスの難航
GEは15年に子会社GEデジタルを設立。産業向けIoTプラットフォームPredixに約40億ドルを投資した。(タービンのデータから運用改善など)
しかし、想定顧客の電気・航空会社=保守的で全然乗り換えてくれなかった!製造業などターゲットを広げるも、もともとGE製品を使ってない→導入進まず。。
考えること1
・保守的な産業は、なぜ保守的?(歴史?構造?規模?)
・保守的な産業に、転換をもたらすには?(十分な有用性がなかった?)
・新規顧客に、使ってもらうには??(導入コスト?信頼?スイッチング?)
2.産業転換についてけてない?
GEの主力部門は発電事業だ。しかし、脱化石燃料化によって発電所建設プロジェクトは資金収集に苦戦。そして、電力部門ののれん代の償却は230億ドルのうちほとんどが減損処理→セグメント別営業利益悪化。
考えること2
・風力発電事業の営業利益も減少してる。なぜ??(縮小させてる?競合負け?)
・火力が沈む分、再エネで力を強めないと!どんな戦略がある、?
・のれん代の減損処理って、どうやって計算??
3. 強化事業も売却ヘ。
17年冬に、航空エンジン・火力発電・風力発電・医療機器の4部門に注力することに。しかし、18年6月にはその医療機器部門も売却を決定。
総額200億ドルの事業売却=EBITDA純有利子負債倍率↓
※EBITDA純有利子負債倍率・・本業の収益で、借入金を何年で返済できるか
残る3部門も切り売りするのではと予測が高まり、幹部はそれらはどれも回転体だから投資の相乗効果があると必死に火消し。一理ある。
考えること3
・売却の目的は負債倍率を減らすことだけだろうか?
結論
産業向けIoTソリューションビジネスは、難しい。そのため、壁をどう乗り越えるかの戦略が試される。同じデジタル化を追う日立・東芝も他人事でない。
ハード+ソフトを組み合わせた事業モデルは、製造業再生の憧れだった。今回はそれがつまづいた結果となった。
余談
・GEは08年のリーマンショックで金融部門が巨額損失を出して以来、製造業に回帰。
・同業のシーメンス(独)の株価は堅調な推移!←違いはなんだ?
・GEデジタルは4億ドルのコスト↓ → 競合に技術者流出(日立製作所など)
・GEの金融部門は62億ドルの損失。(役員・従業員はどんな気持ちなんだ、、)
・ のれん代減損の戦犯の仏重電大手アルストムだが、買収交渉では三菱重工とシーメンスの日独連合が参戦し争奪戦だった。(危なかった+争奪戦のせいで価格↑)unlucky
・GE全体ののれん代は840億ドル。
・日系企業の最大は、SBグループ。(4.3兆円=382億ドル)
・https://diamond.jp/articles/-/180403?page=3
・ソフトウェア会社の買収も多く、次なる減損に市場はビビる←IFRSの特徴?
メモ
・週刊ダイヤモンド41「メディアの新序列」、「ゼネラル・エレクトリック」(財務で会社を読む)2018/10/27
・2018/10/21